手紙への想い

手紙には出す手紙と
受けとる手紙がある

不安なとき、一歩を踏み出したいとき、私たちは自分の考えだけでは自信を持って進めない時があります。
そのような時に日頃、誰にも伝えることができない、言葉にならない想いを文字にすることが大切です。
「手紙を書く」時間は、話し言葉で会話をする日頃の自分からすこし離れて、
手紙を託す相手と、そして手紙を書く自分と深く向き合うことができます。
「手紙寺郵便」は一般的な郵便とは異なり、「死」と「生」を超えて届く郵便です。

手紙寺證大寺住職井上城治の手紙への想い
Written by my father

父からの手紙

私は父が亡くなった後、私と寄り添ってくれた大切な人と別れた後、よく手紙を書きました。しかし手紙を書くための場所としてしっくりくる場所がなかなかありませんでした。
私は旅行が好きでした。その理由は、知らない街で気に入ったカフェなどで自分の大切だった人へ手紙を記すことができるからです。特に海外であれば、言葉が分からないので周囲を気にせずにゆっくり手紙を記すことができました。手紙の内容は、自分は何をしたいんだろうか、いまのままでいいんだろうか、そのようなことを手紙を書きながら考えていました。
それが影響しているのか、私は成田空港の出発ロビーを見下ろせるカフェの隅に座り、旅立つ人を見ながらよく手紙を書いていました。私は弱い人間です。どのように進んでいいのか分からなくなる時がよくあります。そのような時には、大切な「あの人」へ手紙を書きます。私は、これがお寺ならいいのに、これがお参りの場所、お祈りの場所なら良いのにと考えました。

手書きでしか伝わらないものがある

「それからもう一つあります。手紙には出す手紙と受けとる手紙があるように、受け取った手紙も大切です。
私は今から21年前に、亡き父から手紙を受けとったことがあります。父は私が23歳の時に亡くなりました。
いつもとは違う咳が出ることから病院で検査した結果、すでに末期の肺癌でした。父が亡くなった後、とにかくお寺が経営として行き詰まらないように必死でした。特に当時はお寺が運営する霊園の管理がうまくいっておりませんでした。
そのようななかで、寺の経営を支援してくれる人も現れました。その人には本当に世話になりましたが、途中から運営方針が異なり始め、運営は軌道に乗りはじめましたが、気がつけば本来のお寺のカタチからドンドン離れていました。
父が必死に建立したお寺を守るための運営だったはずですが、気が付けばお寺の運営に振り回され、どうしてよいか分からずに行き詰まっていました。

私はその頃は、父が亡くなった病院のロビーやカフェに行き、父と話したことを想い出しながら、今の不安な気持ちをノートに記していました。
ノートに記してはいましたが、その内容は父に宛てた手紙でした。そのとき、父から声なき声が聞こえてきました。
それは私が小学校2年生の頃に父から聞いた言葉でした。「城治じょうじ、あなたに宛てて書いた手紙が本堂の上にあるから、私が死んだ後に開いて見なさい」というものでした。
しかし母に聞いても、父を支えた人に聞いても、誰も知らないということでした。

手書きでしか伝わらないものがある
手書きでしか伝わらないものがある

そこで私は夜に梯子を出して、本堂の屋根裏に登りました。懐中電灯を照らしながら30分ほど探すと、御本尊の上のあたりに埃に埋もれた父の手紙を見つけることができました。手紙の内容は、とても短いものでした。「後継に告ぐ 證大寺しょうだいじの念仏の法灯を絶やすな」城治じょうじ9歳というものでした。当日の私は29歳でしたので、20年ぶりに父の手紙を開いたことになります。
しかし私にとっては、父がまるで今の自分に充てて手紙を記してくれているように感じ、言葉が染み渡るようでした。

これまでお寺の運営を手伝ってもらった人への様々な義理もありましたが、父の応援があれば他には何も要らないと覚悟が決まり、それから寺の運営を父の示す方向に向けて戻していくことができました。それからも父に聴きたいことは山積していましたが、そのような時には、父に手紙を記して、父が私に何を願っているのか、私は何がしたいのかを父と手紙を通して相談をしてきました。風は目には見えませんが、鯉のぼりが空に登るのは風の力を受けてのことです。
父は死にましたが、私においては父は死んでいないと感じています。
今でも父の回忌法事や命日の時には父に手紙を記し、そのつど、思い出す言葉や改めて意味を持って輝き出すような言葉に出会うことができます。私は子供たちが4名います。そして妻や母がいます。大切な職場の仲間もいます。
彼らに宛てて記した手紙を「手紙箱」に入れています。手紙を記すことが、限りある命の中で出会えたことを見つめ直す良い機会となっています。

手紙への想い

手紙への想い

私は父が亡くなった後、私と寄り添ってくれた大切な人と別れた後、よく手紙を書きました。しかし手紙を書くための場所としてしっくりくる場所がなかなかありませんでした。

ラストレター

ラストレター

生まれてきた以上、必ず迎えなくてはならないのが、別れです。その時を迎える前に、先に旅立つ人が、残された「あの人」へ手紙を残す。それが、「ラストレター」です。

手紙箱

手紙箱

「手紙箱」を託すことは心構えの終活として、当たり前ではない今を見つめ、いつか別れなければならない「あの人」を想うことで、あなたの人生を見つめ直す時間となります。

手紙寺郵便カード

手紙寺郵便カード

お墓まいりやご法事の際、仏教の言葉が記された「手紙供養カード」に想いを記し、手紙寺の「手紙寺郵便ポスト」に投函する手紙供養を行うことができます。

手紙寺郵便ポスト

手紙寺郵便ポスト

「あの人」と私を結ぶ。あなたが「あの人へ」向けて記した祈りの手紙は、手紙寺郵便ポストを通して、亡き人と私たちを時空を超えて繋いでくれるはずです。

手紙処

手紙処

生きることに不安なとき、一歩を踏み出したいとき、手紙寺」には大切な「あの人」へゆっくりと向き合い、手紙を書く場所として「手紙処」があります。